Taxonomy: ラビリンチュラ類の系統分類


 最初に報告されたこのグループの生物は,1867年にCienkowskiが 黒海の海藻表面に観察したLabyrinthula macrocystisL. vitellinaの2種です。Labyrinthula属は細胞が網状構造をとるアメーバ状の外質に包ま れ,有機物を分 解吸収するエネルギー獲得様式を示すという類似から,根足虫類や動菌類といった原生動物界や菌界の生物とされたり,遊走子の形態から黄金色藻類とされたり した経緯があります。

 現在では,電子顕微鏡レベルの微細構造の比較解析や,遺伝子配列の分子系統解析などから,この生物群は,コンブやワカメ,珪藻などの黄色の葉緑体をもつ 藻類と進化的に近縁であることが明確になってきました。

 また,ラビリンチュラ類の中の系統関係も徐々にわかりつつあり,これにともなって分類体系の再整理も進んでいますが,まだ問題が残っているのが現状で す。そこで,以下の項目に分けて紹介します。

* ラビリンチュラ類の特徴

* すべての属種を含む分類体系

* 18S rRNA 遺伝子の分子系藤樹(255 OTUs)

* 真核生物の中での位置づけと高次分類

* ラビリンチュラ類内の系統関係

* 属の系統と分類

* 種の系統と分類

* 属種の検索表

* 各属の生活史比較