Viruses for labyrinthulomycetes


 ラビリンチュラ類に感染するウイルスの存在が知られています。

 1972年,1973年に DNA ウイルスらしい構造物がラビリンチュラ類の細胞内に観察されることが報告されました(Kazama & Schornstein 1972, 1973)。しかし,このウイルスは株として残されておらず,分子生物学的な情報ももたらされませんでした。さらにそれ以降,ウイルスに関する情報は追加 されていませんでした。

 最近になって,高尾祥丈氏(甲南大・院; 現:福井県立大学)によって2種類のウイルスが発見され,分離株として確立したことで,これらが single strand RNA virus,double strand DNA virus であることが明らかにされました(Takao et al., 2005, 2006, 。それぞれは「International Committee on Taxonomy of Viruses」への登録手続きが進んでいます。

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Aurantiochytrium single-stranded RNA virus (AsRNAV)
Takao et al. (2005) <PDF>,  Takao et al. (2006) <PDF>


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Sicyoidochytrium minutum
DNA virus (SmDNAV)
Takao et al. (2007) <PDF>


 水圏のウイルスがプランクトンの消長に大きな役割を果たしていることがわかってきています。ラビリンチュラ類は海洋で豊富な現存量が知られてきているため,これらのウイルスが海洋生態系に大きく影響を及ぼしている可能性がでてきました。

参考:瀬戸内海区水産研究所・赤潮制御研究室へのリンク


 なお,AsRNAVに関しては以下の特許が認められています。

特許番号
特許4031633号(特開2003-135061)
発明者
本多大輔,高尾祥丈,長崎慶三
発明の名称
ラビリンチュラ類を宿主とするウイルス、並びにラビリンチュラ類の増殖制御法及び遺伝子操作法