教育職員免許状更新講習会
「電子顕微鏡による細胞観察」 −多様性と進化学的意義の考察−
はじめに
生物の基本単位である細胞は,様々な構造から構成されており,それぞれの構造と機能には密接な関係があります。1940年代以降に生物学への応用が開始
された電子顕微鏡によって,細胞内微細構造の理解が進んでいます。現代生物学でも,最も有用な細胞観察の手段の1つであり,高校「生物」でも多くの電子顕
微鏡写真が示されています。しかしながら,電子顕微鏡自体が高価であり,維持管理も容易ではないことや,観察までの材料の処理過程の中には,特別な技術習
得が必要となる部分もあるため,実際に電子顕微鏡観察をしたことがない場合が多いのが現状です。それによって,細胞構造の把握がしっかりとできていないこ
とによって,細胞の種々の機能や,全体の流れなどについても,正しい理解のさまたげになっていることもあるように思われます。
本講座では,実際に電子顕微鏡を参加者が操作し,観察をすることを通して,細胞構造のイメージの構築を改めて行っていただくことで,教育現場での教科書に示された写真やモデル図の解説などが,生徒たちにとってより迫力のある魅力的なものとなることを期待しています。
目的
1.電子顕微鏡のしくみを理解する
2.観察に供する材料の処理過程を理解する
3.電子顕微鏡による観察を行う
4.観察された像の解釈を行う
5.真核−真核の細胞内共生について理解する
材料
2011年度
植物界
緑藻植物門,プラシノ藻綱 Pyramimonas parkeae (NIES-254)
被子植物門,双子葉植物綱 Trifolium repens シロツメグサ
原生生物界
リザリア門,クロララクニオ藻綱 Lotharella amoebiformis
2012年度
TEM
植物界
緑藻植物門,プラシノ藻綱 Pyramimonas parkeae (NIES-254) Large Small
被子植物門,双子葉植物綱 Trifolium repens シロツメグサ Large Small
原生生物界
ハクロビア,クリプト藻綱 Rhodomonas sp. Large Small
アルベオラータ,渦鞭毛藻綱 Heterocapsa triquetra(NIES-7) Large Small
(Large: 4008x2824, Small: 1200x846)
SEM
ショウジョウバエ,珪藻 Large Small
2014年度
TEM
植物界(アーケプラスチダ)
緑藻植物門,プラシノ藻綱 Pyramimonas parkeae (NIES-254)
被子植物門,双子葉植物綱 Trifolium repens シロツメグサ
原生生物界(ハクロビア)
クリプト植物門,クリプト藻綱 Rhodomonas sp.
動物界(オピストコンタ)
脊索動物門,ホヤ綱 Ciona intestinalis カタユウレイボヤ
SEM
ショウジョウバエ,円石藻(Emiliania)
2015年度
TEM(アーケプラスチダ)
植物界(アーケプラスチダ)
緑藻植物門,プラシノ藻綱 Pyramimonas parkeae (NIES-254)
被子植物門,双子葉植物綱 Trifolium repens シロツメグサ
原生生物界(ハクロビア)
クリプト植物門,クリプト藻綱 Rhodomonas sp.
動物界(オピストコンタ)
脊索動物門,ホヤ綱 Ciona intestinalis カタユウレイボヤ
SEM
ショウジョウバエ,髪の毛
(上の材料の生物名をクリックすると電子顕微鏡写真をご覧になれます。)
(NIES-7, 254は(独)国立環境研究所から分譲いただきました。)
画像を教育目的で使用することができます。
ただし,「甲南大学 理工学部 生物学科 系統分類学研究室HPより」
という表示を入れてください。
甲南大学理工学部生物学科
系統分類学研究室