研究室の2つ目の特許が出ました


特許4427640号
「海苔壺状菌病病原菌検出・定量方法」

発明者:

 日本のノリ養殖は古くから行われており,平成20年度は生産枚数91億枚,生産額にして801億円を誇る主要な水産業の1つです。陸上の田畑でも同じ作 物を効率良く栽培しようとすると,様々な病気があらわれてきますが,同様にノリでも様々な種類の病気が知られています。ただし,養殖網を空気中に曝す「干 出」や,有機酸などで表面処理を行う「酸処理」によって,ほとんどの病気については,防除,駆除をすることが可能です。しかしながら,壺状菌病について は,干出や酸処理でも効果が少ないばかりか,最近になるまでその正体すらはっきりしませんでした。

 甲南大学自然科学研究科で博士の学位を取得した関本訓士くん(現:カナダ・ブリティッシュコロンビア大)は,在学中に壺状菌病の原因生物について,電子 顕微鏡レベルに至る詳細な形態観察と遺伝子による進化系統的解析を行い,2008年に国際専門誌に新種(Olpidiopsis porphyrae sp. nov.)として報告しました。

 さらに,その遺伝子解析によって,壺状菌が他の生物には見られないDNA配列(グループIイントロン)を持っていることを発見しました。そこで,この特 異的な配列の有無をノリの漁場で確認することで,病気にかかる前に壺状菌の検出を行う技術に発展させ,平成21年12月25日付けで特許として認められま した。実際に漁場で病徴が目立つようになる2週間ほど前に検出が可能であることが,共同研究先である佐賀県有明水産振興センターによって確認されており, 蔓延する前に収穫を行うなどの対策につながることが期待されています。


参考文献